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先日、音楽教室のことをブログネタにしたら、その夜だったか、音楽教室の中も「公衆の前」とみなされて、今後は著作権料が徴収される方針というニュースが流れた。

個人的には、音楽教室内での演奏とカラオケとでは、根本が「違う」と思った。
人々が音楽教室へ足を運ぶのは、楽器演奏技術を学ぶのが目的であり、けっして聴衆者となるためではないのでは…?

音楽教室運営に関わったことがある元関係者としては、今後どうなるのか興味津々…ではあるが、あくまで他人事(;^ω^)

そして、音楽教室内のことよりも、先日某国営放送の番組で見た、誰でも弾くことができる街中のピアノを弾く方が「公衆の前での演奏」になるんじゃなのか、と心配。

ああいう純粋な楽しみに「お金」は発生しないでもらいたい。
著作権の問題は、かなり複雑そうでよくはわからないけど。



また、この著作権のニュースでは、ある人物(故人)のことを思い出した。

私と同じく音楽教室のアルバイトだった彼女は、結婚後に個人経営の音楽教室を始めた。
家の事情で卒業はできなかったらしいけれど、短大の保育科に通っていたことがあり、アルバイト時代からピアノは多少弾けた。
あくまで素人レベルだったけど。
電子オルガンも、アルバイトするようになってから見よう見まねで覚え、これも素人レベルながら、大人の初級クラスの楽曲程度は弾けた。

音楽教室の受付の仕事に関しては、かなり優秀。
特に経理に関しては完璧な仕事ぶり。
接客も人馴れしていて、そつがなかった。

それまでの仕事は、昼間は金融関係。
金融関係にもいろいろある(苦笑)
日中の仕事が終わると、夜はその雇用主が経営するお店でも働き、朝も同じ経営の喫茶店のモーニング調理を担当していたそう。

あまり詳しい理由は聞かなかった。

親の仕事上での債務が彼女のせいだったとかで、借金を彼女ひとりで返すことになり、朝昼晩と働く必要があった、ということと、そして、すべてを完済した上、しばらくは遊べるくらいの貯金もできたので、フツーの仕事(;´∀`)を探していたら、音楽教室のバイト求人情報を見つけた、ということだけは、直接本人から聞いた。

彼女の昼間の仕事のことは、事前に採用担当者から聞かされ知っていたし、何より実際の仕事ぶりは信頼できたから、私としてはそれでじゅうぶん。

あの「子ザルオンナ…」とは違い、どんな仕事でも任すことができた(笑)


ただ…。
一年ほど一緒に働いた間に、他の仕事仲間も含め、数人で食事に行ったりすることはあったが、けっして友達になろうとは思わなかった。
偏見ではなく、日頃の彼女の言動に、微かにひっかかるものを感じていた…から。


その微かなものの正体がはっきり見えたのは、彼女に結婚話が出た頃。

相手のお家に挨拶に行ったとき、勤務先を聞かれたそう。
彼女が「○○○音楽教室に勤めています」と答えたら、先方のお母さんに「あら、ピアノの先生でしたか、じゃあ結婚後も仕事は続けることができるんですね」と言われたので「仕事は辞めません」とだけ答えたんだとか。


確かに「ピアノの先生でしたか…」は、質問ではないから答える必要もなく、そして、先方さんは勝手に「ピアノの先生」だと思い込んだだけ。
で、「音楽教室に勤めています」も、正社員ではないものの、勤めていること自体はホント。
さらに、しばらくは仕事を続ける予定だったので、ウソをついたわけでもない。

でもね………って、私は彼女の話を聞きながら、そう思っていた(;^ω^)



私の方が先に仕事を辞め、一切のつきあいがなくなったので、それ以降の彼女の様子は、共通の知り合いから、聞いたんだけど…。

結婚話が進み、挙式日時も決まった頃に、相手が転勤になり、高知県で新婚生活を始めることになった。
彼女は、すぐに自宅でピアノと電子オルガンを教えるようになり、多いときは生徒が30人くらい(←これって、個人の教室としては、すごい人数)。

近所の人達に、自分は結婚前に香川県の○○○音楽教室に勤務していたので、ピアノや電子オルガンを教えることができる…と言ったことがきっかけで、自宅レッスンをするようになり、クチコミで生徒が集まるようになったと言ってたそう。

レッスンをするにしても、彼女はどこの楽器店の講師資格も持っていないから、楽器店が出版する生徒向けのテキストは使えない。

でも…。

生徒の方が「○○○楽器の資格試験」を望まないようなレッスン、つまり音楽演奏を楽しむためだけのレッスンでいいのなら、そういう方針の音楽教室もあり…だとは思う。
あくまでその方針を明確にしていれば…の話だけど。



彼女の堂々とした指導っぷりは、講師資格を持っていた共通のその知り合いも、舌を巻くほどだったという。
ただ、指導中に模範演奏は一切しないので、あれでは舌先三寸レッスンだ…と知り合いは笑った(;^ω^)

数ケ月に1回くらいの割合で、ホームパーティ形式で生徒の演奏会を開く…みたいなこともやっていたらしい。
それが楽しい、と評判になり、生徒数が増えたみたい。
元の勤務先の音楽教室では、講師ごと、あるいは教室全体としてのイベントで、そういうパーティ形式での発表会もやっていたから、その知識や経験も、ちゃっかりと生かしたのだろう。



そういう有料パーティの演奏者や聴衆者は、「著作権…」が実施されたら、教室内の生徒よりも、もっと「演奏者&聴衆者」に近い存在…とみなされそうだなぁ~と、ふと彼女のことを思い出した次第。





自分は香川県の○○○音楽教室で働いていた…と、自己紹介するときに必ずそう言っていたという彼女の言葉は、やっぱりいただけないなぁ~と、共通の知り合いは、当時憤慨もしていた。

それについては、私もそう思う。


その知り合いは、彼女から、今後人を教えるつもりがあるとは知らされないまま、結果的には、講師という仕事のノウハウをたっぷり教えたことになる…と苦笑い。



音楽教室で働いていた…は、ウソじゃないけれど、ホントでもない。

それは、消火器を売るための「消防署の方から来ました」…と同じ類のこと(ーー;)
ブラックとは言い切れなくても、じゅうぶんブラックに近いグレーだと、私はそう思う。

いくら生徒さんが、彼女の指導内容に満足していたとしても…ね。




30人もの生徒を抱えるようになってわずか数年後、彼女は疾風のように人生を駆け抜け、3人の幼い子供を残し早世してしまった(*-∧-*)

Posted on 2017/02/04 Sat. 22:58 [edit]

category: 雑記(日常・雑感)

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