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第2165回「思い出の味といえば?」

第2165回「思い出の味といえば?」



味そのものについては「満足」したという記憶しかないんだけれど、そのときに受けた「究極のプロの接客」は、今でもしっかりと記憶に残っており、そういう意味での「思い出の味」がある。



ナビもネットもない時代の我が家は、相棒の休みが取れそうだ~となると、旅行ガイドブックの後ろの方に掲載されているホテル一覧を片手に、片っ端から電話をかけ、予約ができたところへ行く…そんな旅をしていた。

ギリギリになるまで、本当に休みが取れるかどうかはわからないことが多かったので、あまり綿密な計画は立てられなかったけど、いつでもどこかへは行けるように、いろんな方面の道路地図とガイドブックだけは、揃えていた。

5日間も休めるのにホテルが取れなくて、観光地とは言い難い土地に3泊し、そこを拠点にあちこちへ行く…みたいなことをしたこともあった。

その頃の旅は、安いビジネスホテル利用で、夕食はあまり高そうにない地元の居酒屋さんを探すというパターンがほとんど。
今は、ネットで簡単に予約や下調べができるようになったけど、それでも安宿&居酒屋という基本パターンは、あまり変わってない。

つまり…我が家には高級宿&高級料理店なんて、昔も今も、そんなにたびたびご縁はないんだけど(^▽^;)




南紀方面へは過去に数回行ったことがあり、これはその2回目の旅、そして、いつものパターンではなかった旅の話(*^▽^*)

珍しく、2週間以上も前に5日間の休みを取れることが決まり、行先は久しぶりの南紀方面にしようかということに。
南紀は、結婚直後に行ったとき、けっこう遠かったという記憶があった。

長いお休みは、再訪の絶好のチャンス。

そんな中、相棒クンが会社の上司から、もし三重県へ行くなら松坂、松坂と言えば松坂牛、松坂牛なら「和田金」へ行け…と言われたという。
ただし、「和田金」は相当高いお店なので、ひとり1万円以上は覚悟しろということだった。

それは、いつもの夕食代の3倍くらいの金額。
ビビったが、一方、そんな高級なお店ってどんなところ?という興味も湧いた。

ワタクシ的には、もちろん大好物ではないものの、今ほどは牛肉に大きい抵抗がなかったし、当時の相棒クンは、牛肉以外は肉じゃない…みたいな勘違い野郎だったし、なにしろふたりともまだ若く、怖いもの知らずでもあった(苦笑)。
ということで、恐れ多くも「和田金」が主目的という3泊4日の旅が決定。


旅の1日目は、久しぶりに、串本の橋杭岩や那智の滝を眺め、新宮のビジネスホテル泊まり、夕食は焼き鳥屋さん。
当時の記録を見ると、二人分の宿泊代7100円&夕食代5830円。
ここまでは、今までと変わらない旅。

2日目は熊野早玉大社や海沿いの獅子岩、日本最古の神社である花の窟神社を経て、伊勢神宮の外宮・内宮へも参拝し、鳥羽の水族館やミキモト真珠島も見学し、松坂で宿泊。

今、振り返ってみると、けっこう強行軍。
でも、当時の相棒クンは「まともな走り屋(笑)」だったからか、それなりに見学時間もちゃんとあったように記憶している。
ただ、鳥羽のパールロードを走って賢島まで行く予定は、時間的にムリと判断し、途中で断念。

「和田金」での夕食が待っていたから。

記録によると、この日は宿泊料金が朝食・駐車場込みで11505円、夕食は…なんと22275円(*_*;
宿泊料金は、現在の私の感覚では若干高い気もするが、松阪市の駅近くのビジネスホテルとしては、当時の標準金額だろう(ここ数年、都市によっては異様なくらい宿泊料金が高い場合もあるけれど、全体的には、昔の方が宿泊代は高かった)。

しかし、ひとり8000円のステーキコースの「和田金」は、前日の夕食代の4倍近く(;´▽`A``…であり、当時の私たちには、めっちゃ高かったことがよくわかる。

記録って、やはり残しておくものだ…(;^ω^)


ちなみに「和田金」さん、現在では、いちばん安いコースでもひとり16000円、おそらく私たちが食べたのは今では19000円のコース…ってことは、お酒も飲んだら、ふたりで4万円を軽く超える?:(;゙゚''ω゚''):


その日に話を戻すと…和田金へ向かったのは、けっこう早い時間。
早かったこともあって、予約しようなんていうことは思いつかず、そして、高いということだけはじゅうぶん頭には入ってたが、特に緊張することもなくお店へ向かった。

さすがに高級店という店構え。
こちらとしては、フツーに興味津々状態。
店前では、かなり年配の男性従業員が水まきを終えようとしていたところだった。

そのご老人は、さりげない云い方で、「お食事でしょうか」と聞いてきた。
私たちの「はい」の返事を聞くと、また、同様の口調で「ご予約ですか」と聞かれたが、その云い方が、とても自然。
予約はしていないというこちらの返事にも、ごく普通に「ではご案内いたしますので、こちらへどうぞ」と、店内へ案内された。

靴を脱いで上がるシステムだった。
そのご老人は、またまたさりげなく、私たちの靴を、下足箱があるだろう奥の方へ持っていってくださったが、記憶を手繰り寄せると、その前に、仲居さんに何かを指示していた様子。

しかし、そのしぐさがすべてこちらの視界を邪魔しない、というか、うまく言えないが、動作が自然で、まったく大げさではないからか、こちらとしては、彼のしぐさ全般が全然気にならない、というか…そんな感じだった^_^;

気がつけばいつのまにか、部屋案内の別の仲居さんが出てきていて、すぐに部屋へ案内してもらえた。
お部屋の方は入る前からすでに照明も暖房も付いていたが、途中歩いた廊下の照明は、ところどころ付いていないところがあるなぁ~と思っていたら、すぐに廊下の照明すべてが点灯。

その後、時間が経っても、私たちの周辺の部屋には、お客さんが来た様子はなかった。

仲居さんのお料理の説明も、最初のご老人と同じく、ホントさりげない。
こちらも値段をあらかじめ知っていたこともあって、ごくごく自然に、まったく身構えることなく、食事を楽しむことができた。

食事を終え、部屋で会計も済ませ、玄関先まで行こうとしたとき、他の一角のお部屋はけっこうお客さんで埋まっていることがわかった。

玄関先に戻ってみれば、高級店にはちょっと不似合いな私たちのスニーカー(苦笑)が2足、きっちり並べられていた。
最初に応対してくれたご老人の姿は見えなかったけど。


記録によると、その日は平日。
とはいえ、超・有名店だから、それなりの予約客はあったはず。
でも、予約でお店すべての部屋が埋まるほどではなかったから、予約客のための準備は店内の一部分だけであり、早い時間に飛び込みで入った私たちの部屋は、別の一角に急きょ用意した…ということらしい。



いろいろ経験を重ねた今となっては、非常によくわかるんだけれど、あのときのご老人の接客は、究極のプロだった。


今までに何度も「ここの店員(従業員)さん、私たちの質(レベル)を見定めようとしているなぁ~」という印象を持ったことがあるけれど、彼からは、一切そういうものが感じられなかった。

人間の本能としては、見定めようとするのがフツーなので、けっしてそれが悪いとは思わない。
こちらも「見定めようとする」相手を、こちら側から見定めているわけで…(笑)

しかし…。

それを表に出さないというのは、相当な修業が必要なはずだと思う。
今考えても、あの姿は「凄い!」のひと言。


実は、「和田金」さんへは、その後もう一度訪れたことがある。
初めて行ったときからそれほど年月は経っていなかったけど、あのご老人の姿はなかった。
そして、そのときはもちろん、予約客として訪れたものの、最初のあの「感動」もなかった。

従業員の質が落ちた…とまでは言わないが、確実に、あの時とは何かが微妙に違ってしまった、という印象。

2度めのときの仲居さんは、丁寧な接客にもかかわらず、部屋から出て行くたびに、なぜか襖が必ず数センチ開いたまま。
それだけでなく、お店全体の雰囲気も、ごくごく普通の高級店(苦笑)だな、という印象。



長らく、あのご老人は、お店の下足番のおじいさんだと思い込んでいた(だって、水まきをしていたし…(;´▽`A``)けれど、年月が経った今、こうやって振り返ってみると、ひょっとしたら「大番頭さんクラス」の方だったのかも…そんなふうにも思えてくる。





そうそう、記録が残っているから、ついでにこの旅のその後の様子…。


この旅の3日目は、松阪から伊賀上野へ行き、忍者屋敷と伊賀上野城を見学。
その後は奈良へ入り、法隆寺・高松塚古墳・石舞台古墳と行って、宿泊がなんと奈良ホテル。

前日の夕食が超・高級だったので、3日目の宿泊や夕食は安くあげたかったのに、どうがんばってもビジネスホテルが取れなくてしかたなく泊まったことは、よく覚えている(*´▽`*)

しかも、せっかくいいホテルに泊まったんだから、と翌日の朝ごはんをホテル名物の茶粥にしたから、3日目の宿泊料金(朝食込)は27100円也(ここの茶粥も絶品で、思い出の味。 これが目当てで宿泊料金が高いのに、その後もう一度行った…苦笑)
もちろん、前日の夕食は全国チェーンの安い居酒屋さんへ行ったから、6050円で済んだんだけど。

4日目は東大寺・興福寺・春日大社・平城宮跡と回り、神戸からジャンボフェリーに乗って、帰ってきたという記録。
ナビのない時代なので、大阪の環状線はワタクシの適切な誘導で無事に出られただとか、予想以上の大渋滞があり、フェリー出航の20分間にようやく港に着いたという記載も。



今だったら、このスケジュール、絶対ムリだし、予算的にもムリっ(笑)

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